前後関係は判りませんが、当時DU PONT社では登山用のアウターとインナーの素材を開発してました。

アウターではダウンに替わる綿状の防寒素材、インナーでは汗を吸って外へ吐き出す下着生地です。

 

オーロン見開き広告

防寒綿ではダクロンと言ふモノが有りましたが、これは天然素材のダウンには敵わなかったようですが、カュアルな街着のダウンジャケット等に使用されているようです。これ以来化繊の中綿が流行り,ダウンジャケット類が安価で生産されるようになったのではないでしょうか?

ダクロンは確か糸(繊維)の中心をくり抜いたような形状で、その分軽く、保温性が高くなる、とアメリカのDU PONT社へ行った時に説明してくれた気がします、83年だったかな?

 

一方インナーのシャツやソックス用の素材としてオーロン(Orlon)が開拓されました。

登山と言っても我々がやるようなハイキング、トレッキングでは無く、本格的なヒマラヤとかの登山用です。

前回書いたように、極寒の中で歩いても汗はかくようで、休憩時、シャツが汗で濡れたままだと外気の冷気で汗が冷たくなり体温を奪って死に至ることが有るようです。

そこで昔は毛糸の下着を着てたとか、、

しかし毛糸では肌触りも良くなく、洗濯も難しいため、その代用品として考え出されたのがオーロンと言ふわけです。

 

オーロンはアクリルの一種で、糸の断面がひょうたん型していて、その形が水を吸い上げる、とか聞きました。オーロン製のアメリカ製品を見ましたが、糸が柔らかく真綿みたいな感じで、履いた感じは良かったですね。

社内でのモニタリングでは、日大や日本鋼管でもサンプルを履いて貰ったはずです、「履き心地も良く吸汗発散も良いけど、バッシュの中で足が滑る。」との指摘を受けました。

 

確かに、オーロン100%のソックスは滑り易かった。そこでオーロン100%では無く木綿との混紡にすることに。しかし問題は混紡率です。木綿が多ければ足の滑りは解消されますがオーロンの性能は下がります。そこで数パターンの糸を作って貰い、再度モニタリングしました。数回繰り返して結論を出したと思います。

 

湿度の高い日本では最適と思い、かなり宣伝を掛けて売り出したけど、思ったより売れなかったですね、アメリカでは一時かなりブームになっていたんですが。

その後SAKAIを退社したので詳しいことは判りませんが、販売を打ち切ってました。

 

バスケットではSAKAIさんだけですが、登山関係でも販売してたようですが、何処も長くは続かなかったようです。コインランドリーでやると縮むとかクレームが来たような気がします。

そしてもう一点、アメリカと違って日本は大量に汗をかきます。殆どの体育館にエアコンが無いので汗は脚を伝わって腿辺りからもソックスへ流れ込んできます。

ハイソックスはその汗を吸収して発散してくれてましたが、ショートソックスの時代に突入していた当時、短めのソックスではその汗を発散出来なく、バッシュの中へ入って行くことになりますね。

 

オーロンは内側の汗を吸い上げ、外側へ移動させますが、外側と言ってもその外側は直ぐにバッシュの皮革で、足を包むようになっているので、実を言ふと汗の行き場は無いのです。と言ふことは、汗が回帰現象を起こす、と言ふことです。

そのことに気が付いたのはだいぶ後でした(笑)

 

オーロンはソックス以外にもTシャツ地として開発してましたが、こちらも今一でしたね。アクリルと言ふ素材はボテッとして、熱にも弱く、どうもTシャツ向きじゃなかったようです。

 

それから数10年経って、ナイキがポリエステルでクールマックスと言ふ生地を使ってシャツを作り「吸汗速乾」と言ふ言葉と共に世界中へ広がって行ったわけです。

昔は「吸汗」なんて言葉は無く「吸水」で、「速乾」じゃなく「発散」でしたからね、素材と共に言葉も進化するんですね(笑)

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ホントにオーロンのソックスは滑りやすかったですね 汗
何回か洗濯するうちに程良くなった気が。。。 懐かしいですね

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