この数日、antaka305.comの原稿作りで忙しかったー。

昨日はフォントページを作ってましたけど、今は楽になったなー、とつくづく実感してます。

今の人は「烏口」と言っても誰も知らないでしょうが、製図用具の一種で、版下作りに必要な墨で線を描く道具です。神経を集中して引かないと墨がこぼれちゃうんです。それが「ロットリング」と言ふボールペンみたいな形状になり、大進化を遂げたと思ったら、今はPCの発達で筆記具すら不要になってます。

烏口で曲線を描くときの難しさと言ったら並大抵ではなかったのに、今はマウスでクリっと描けちゃう。

嬉しいやら悔しいやら[笑]

さてバスケットではユニフォームの胸にチーム名を付けますが、そこで使うフォント(書体)の中で基本的で一番古いフォントと言ふと「フルブロック体」になります。

今から40年前のアメリカのバスケットシーンでは、このフルブロック体か「ブラッシュスクリプト体」と言ふ筆記体の2種しかなかった、と言っても過言じゃないほどです。

ではその「フルブロックってどんな書体なのか?」と言ふと、セルティックスの胸のチームロゴが正にそれ、と思ったら今はプレーンブロック体だった(汗) シカゴ・ブルズの「BULLS」がフルブロック体です。

太い線で、全部角張って曲線がありません。

でもそれが力強くスポーツ的なんですね。

違う見方をすれば、マークを裁断する時、全て直線のほうが簡単で、不器用なアメリカ人向きだった、とも考えられます[笑]

40年ほど前、アメリカのスポーツ誌を見てその書体を分析して、自分なりにアレンジしてフルブロック体を作り上げました。

基本は「線の太さは横も縦も同じ太さ」と言ふのは簡単ですが、角の取り方と「セリフ」と言はれる線の端に付ける脚みたいなもの。特にセリフの幅が難しく、太すぎると線自体が細くなってしまい、セリフだけが目立ち、狭すぎるとフルブロックの意味や特徴がなくなってしまいます。

そこで導き出したのが「線の幅を1として、全体は縦:横=5:3.75」が一番バランスが取れた文字になる、と言ふことです。

ところがこの比率では文字数が多いチーム名では幅が広くなりすぎて、文字自体を小さくしなければならないため、縦は6とか8と言った細長い形にしなければなりません。

ところでフルブロックはセルフが付いているためにオシャレになるのですが、文字数が多いと、線の幅が狭くなり、ひ弱に見えます。

そこで登場するのがプレーンブロック体です。

セリフが無いので線の幅を1とした場合、全体では横幅を2.5程度までにすることが出来ます。逆の言い方をすると、全体の幅が3.75なら線幅を1.5くらいに出来る、と言ふことです。フルブロックに比べて1.5倍ですよ。力強い文字が出来ます。

自慢になりますが[笑] 当時このスペック(と言ふほどじゃないけど)はバスケットボール・イラストレイテッドや月刊バスケにも発表して、どのメーカーさんでも使えるようにしました。某メーカーさんから「助かった、ありがとう」と言はれたことも多くありました。

何故って????

今でも「FULL BLOCK体」と言ふフォント名は無いはずです[笑]

そして最近までフォント自体もありませんでした、アメリカのスポーツ用具界のみでのフォントだったわけです。流石にPC全盛のご時勢ですから、最近は「IVY LEAGUERS」とか「ALL STAR」とか言ふ名前で出来てきましたが。

と言ふことで、昔は全部手書きだったわけで、初期は1チームごとに幅を割り出して1文字の大きさを決めて作っていましたが、余りにも注文が多くなったので、既製品を作ることにしました[笑]

縦の長さは10cmと決め、幅を5cmや8cmのモノをあらかじめ作り置きして、後はコピーして貼るだけにしてからは、作業がグーーーーンと早くなりました[笑]

もっとも今はキーボードを叩くだけで文字が出てくるし、縦と横の比率も簡単に変えられますから、便利ですねー[笑]

もっともPCならではの弱点もあります。

文字数が多いからと言って縦長にすると、全体が同じ比率で引っ張られため、どうしても横線が太くなってしまうことです。

その点フルブロックやプレーンブロック体なら、時間をかけると手作業で修正できます。これぞ究極のデジタルのアナログ使い[爆笑]

もっともこんなことやっているのは私ぐらいでしょうが[笑]

次回はフォントから一歩進んで、文字レイアウトの「バーチカル・アーチ」について書きましょう。

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私も烏口を使った世代です。

色々な文字のオリジナルデザインをするのが好きで、ノートのいたるところに、デッサンをしてました。

ところが、自分では色々なバリエーションを創っているつもりが、みんな似てきてしまうんです。
これが、プロ(デザイナー)とただの設計屋の違いなんですね。
改めて実感しました。

個人的には、とても興味深い話でした。

漫画でユニフォームを作る時は、
服のシワに合わせて、
パソコン上でフォントを曲げて作ってますが、
ちゃんと手を動かして原理原則を覚えている方が、
説得力が全然上でしょうね。

手でも描いてみようと思います。

LAPUTAさんへ
烏口は元々は設計図用だったのでしょうね。
文字を作るといっても、大変ですから。
私の場合は、どうしてもブロック体がイメージされちゃうんですよね[笑]

dsさんへ
おひさしぶりです。
漫画となると難しいですね、私は手書きのほうが味があってすきですけど。単に個人の好みですが。
ただ時間が掛かりますよね[笑]

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